給付金を受けるにはいずれも申請が必要です。条件・対象内容等を一緒に見ていきましょう。
教育訓練給付制度
働く人のキャリアアップやスキル向上を目指し、厚生労働省が指定している教育訓練講座を受ける方を支援してくれる制度です。
ある一定の条件をクリアしている場合、受講のための給付を受けることができます。
2014年に大幅に改正され、教育訓練給付制度は一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の2種類があり、それぞれ条件や支給額が異なります。
一般教育訓練給付金
一般教育訓練は、一定の条件をクリアした雇用保険の一般被保険者、また一般被保険者であった人で指定された講座を修了した場合、支払った教育訓練費の20%が支給されます。
・前回の教育訓練給付を受け取った日から今回の受講開始日前に3年間以上が経過していること
専門実践教育訓練給付金
2014年に専門実践教育訓練給付金が新設され、より専門的で実践的な教育訓練を対象にしています。
・一般被保険者の資格を無くした日(離職日翌日)以降、受講開始日までが1年以内且つ支給要件期間が3年以上ある雇用保険の一般被保険者であった者
上記条件のどちらかを満たしている場合、受講中または修了した時に支払いをした教育訓練経費の50%(年間上限40万)が原則2年(最大3年)まで支給されます。
尚、資格取得等で修了後に就職をした場合、教育訓練経費の70%(年間上限56万円)を受け取ることができます。
広域求職活動費
ハローワークで就職活動を行う求職者の方の中には、遠方企業への説明会や面接に行くケースもあるかと思います。
その際にかかる交通費や宿泊代などを支援してくれる便利な制度です。
・ハローワークが紹介している企業先であること
・雇用保険手続きをしているハローワークから、訪問する企業を管轄しているハローワークまでの距離が鉄道で200㎞以上であること(バスの場合は4分の1㎞を鉄道1㎞に換算)
傷病手当
こちらは雇用保険加入者に対する制度になり、就業中の方も対象になります。
被保険者が病気やケガなどの理由で仕事に行けなくなってしまい、事業主から報酬を充分に受け取れない場合に一定の条件を満たす人に支給される手当のことです。
意外と知らない人は多く、仕事中のケガ等は労災になりますが、大病や仕事以外のケガ等でも利用が可能になります。
会社を休んだ日が3日続き4日目以降から休んだ日に対して支給され、最長1年6か月間の受け取りが可能です。
1日あたりの金額は、支給開始日以前の1年間の各報酬月額を平均した額を30日で割り、その金額を3分の2にした金額になります。
但し、障害厚生年金または障害手当金、老齢退職年金、労災保険(休業補償給付)、出産手当金の支給を受けている方は傷病手当金を受けることはできません。
高年齢求職者給付金
65歳以上の高齢者である被保険者が退職して失業した場合、高年齢求職者給付金を受け取ることが出来ます。
64歳未満の方に関しては、通常の失業保険(基本手当)が受給可能ですが、65歳以上の場合は、この高年齢求職者給付金を利用します。
・現在、完全に失業している状態であり、いつでも働く意欲と環境が整っていること
手当ての金額・計算方法等に関しては、厚生労働省資料にてご確認ください。
高年齢雇用継続給付金
高年齢雇用継続給付金は、高齢化が年々進んでいく日本において働く意欲のある高齢者を応援するという目的で作られた給付金です。
原則として60歳以上65歳未満の被保険者が、60歳になった時点で受け取っている賃金と比べ、賃金が75%未満に減っている状態である場合、各月に支払われた賃金の最大15%が支給されるという仕組みです。
雇用保険に5年以上の加入期間がある場合に適用されます。
高年齢再就職給付金
高年齢再就職給付金とは、60歳以降に1度会社を辞め、失業保険を受け取っている方が対象になる制度です。
再就職した際、雇用保険の支給残日数が残っている場合に受け取ることが可能な給付金です。
但し、失業保険の残日数が100日以上あり、再就職をして1年間以上働くこと見なされた場合に適用されます。
就業促進手当
就業促進手当とは、失業手当を受給中に再就職した際に受け取ることができる手当になります。
就業促進手当には4種類あり、それぞれ条件が異なります。
再就職手当
就職祝い金とも呼ばれる再就職手当は、失業手当の支給残日数が3分の1以上残っており、雇用保険の被保険者になって1年以上の勤務が確実となっている場合に適用されます。
過去3年間の間に再就職手当や常用就職手当の受け取りが無い等の条件があります。
また、就職先の雇用形態によっては例外もありますので確認しましょう。
就業手当
就業手当とは、失業保険(基本手当)の受け取る資格がある方が、再就職手当の支給対象にはならない場合に受け取れる制度です。
正社員ではなく雇用期間が1年未満の臨時的な仕事が決まった方が、失業保険(基本手当)の支給残日数が45日以上残っている場合に適用されます。
就業促進定着手当
再就職手当を受け取った人で再就職先において6か月以上雇用され、6か月間の賃金が離職前の賃金よりも低くなっている場合に支給される手当です。
失業手当の支給残日数40%を上限に、低くなってしまった賃金の6か月分を受けることが出来ます。
支給額は、離職前の賃金日額から再就職先の6か月間の1日分の賃金を引き、それに再就職の日から6か月間賃金の支払い基礎となる日数を掛けた数が支給額となります。
常用就職支度手当
失業手当を受給中、障害があるなどの理由で就職が特別難しい人が、安定した就職をした場合に失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であるときに支給されます。
原則として、「基本手当の日額×90×10分の4」で計算されますが、残日数が45日以上90日未満は「基本手当の日額×支給残日数×10分の4」、45日未満は「基本手当の日額×45×10分の4」という計算式に沿って決まります。
但し、就職に関する手当の支給を受けるためには要件を満たしている必要があります。
介護休業給付金
被保険者が家族の介護をするために介護休業をした場合、一定の条件を満たしていると受け取れる給付金です。
給付額は原則として「休業開始時の賃金日額×支給日数×67%」になります。
育児休業給付金
育児休業で会社をお休みする場合に給付される給付金のことです。
給付申請は子供が生まれてから1歳未満になる間のみで、支給期間は1歳6か月、また保育所などに預けられないといった特別な理由がある場合には、2歳までの延長が可能になります。
・雇用保険の被保険者であること
・育児休暇を取る前の2年間で1か月の間に11日以上勤務した月が12か月以上あること
・育休中の1か月毎に育休開始前1か月の賃金の80%が支払われていないこと
・育休中に1か月以上働いている日がないこと
支払額ですが「育児休業開始時の賃金日額×支給日数×67%」になります。